anzuのブログ

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来日したパティ・スミスが語る震災と原爆

ライブの感動も去る事ながら
パティ・スミスのインタビューに感銘を受けましたので
一部、抜粋して掲載させて頂きます・・・・・・m(-_-)m
 
 
 
 
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──あなたのニューアルバム『バンガ』には、「フジサン」という歌が収録されています。富士山に、日本の復興を願う気持ちを込めたと伺っていますが、日本人にどのようなメッセージを伝えたいのでしょうか?特に、被災して今も苦しんでいる人たちには、何を伝えたいですか?
 
原発の危険性について、日本人だけでなく、世界中の人々に伝えたい。原発がどこに建設されているのか、災害が起きた時、除染作業がいかに困難で、人々にどんな影響を与えるかを、しっかり理解してもらいたい。それに、自然を敬い、大切にする気持ちを忘れないで欲しいと思います。私たち人間の暮らしが、川や、海、大気を汚染し、動物や植物など、様々な生物の命を奪っていることを自覚して欲しい。私たちに与えられた美しい地球を破壊しているのです。だから日本での震災は、ひとつの教訓です。自然災害は、人々の命を奪い、家を奪うだけでなく、土壌を汚染し、そこで育てた穀物をだめにしてしまう。家畜も処分しなければなりません。そうしたことを伝えたくて、私は「フジサン」という歌を作りました。富士山に、その麓で暮らす人々を見守って欲しい、と願いを込めました。そして、人々には、自然保護への意識を高めて欲しいと願いを込めました。いつか、自然から、しっぺ返しをもらわないようにね。自然は、今回のように、時として私たちに猛威をふるうことがあります。
 
──福島第一原発での事故は、原子力エネルギー開発史上、もっとも深刻な事故となりました。しかし、原子力発電の技術は、もともとアメリカから運び込まれたものです。
 
ええ。分かっています。アメリカは、日本に随分とひどいことをしているわね。日本は、すでに十分苦しんでいます。私が生まれる前、アメリカは広島と長崎に原爆を落としました。アメリカが日本に対して行ったことの中で、最もひどいことだと思います。日本は、被爆体験など核開発の歴史において、最も辛い思いをしてきました。震災後の原発事故で再び苦しむことになるなんて、悲しいことです。私たちは、新しい技術の開発に取り組む中で、自然とのバランスをないがしろにし、環境を破壊してきました。その意味で、私の祖国アメリカが犯してきた罪は重いと思います。私は、そのことを、心から恥じています。今、環境汚染について、世界中の人々が理解を深めることが求められています。中国での環境汚染は、深刻です。ジャカールで起きた洪水は、河川での汚染が深刻で、川の流れが滞ったのが原因でした。私たちは、目を覚まさなければなりません。
 
──ソングライターとして、3月11日の震災によって、どのような影響を受けましたか? 震災によって、何か影響を受けましたか?9月11日のテロの後すぐ、あなたは、あの事件から大きな影響を受け「twin death」という詩を書きましたね。あの詩を読んで、とても感動しました。
 
ですから、3月11日のすぐ後に「フジサン」を書いたんです。震災そのものについては、私自身はその場にいなかったのですから、歌詞を書けないと思いました。実際に経験していないことについて書くべきではないと思ったのです。でも、何かせずにはいられず、祈りの気持ちを歌にしました。「フジサン」はロックによる祈りです。富士山に、日本の人々を守って欲しいと祈る歌です。あの歌が、私の震災に対する思いです。
 
 
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渋谷AX公演より 
 
 
──今はオバマ政権ですが、今でもなお……。
 
私たち市民には、力があると信じています。しかし、人類の歴史を振り返ると、政府、軍、企業などの力があまりにも巨大で、私たちは、彼らの前には無力だと思ってしまうことがあるのです。今後、私たちがやるべきことは……数千人規模のデモでは、不十分です。私たちは、世界規模で声を上げなければなりません。1万人が原発に反対するデモをしても、十分とはいえません。1,000万人規模のデモが必要です。
世界は、今、大きな危険にさらされています。気候変動、水質汚染、大気汚染、癌に冒される子供たちの増加、それらは、すべて事実です。そうした状況を変えるには、世界中の人々が手をたずさえて解決に取り組むべきですし、多くの犠牲も受け入れる覚悟が必要です。特に物質面では、その必要があります。たとえば私が『ジャスト・キッズ』の中で描いたのは、貧しくて、ほとんど何も持っていないけれど、仕事への高い意識を持っている若者の姿。アーティストを目指し、世の中を変えたいと思っている。今、私たちに求められているのは、新たな革命。技術革新、ネット革命などはすでに実現しましたが、もっとシンプルに生きるための革命が必要です。私たちの身の回りには、素晴らしいものがあふれていますが、本当に必要なのは何なのかを考え直すことが、今求められています。
高い技術ではなく、きれいな水、きれいな空気、安全な食べ物、自由、創造力、病から身を守る術が必要。そうしたことを、もっと多くの人々が理解するようになります。億万長者になったり、有名になっても、大気汚染などにより癌などの病気におかされたら、何の意味もありません。今こそ、基本に戻るべき、自然に返るべきです。そんな思いを込めて、「フジサン」を書きました。富士山は、自然がつくり上げた、とても清らかで美しい山ですから。
 
──私はあなたより6歳年下ですが、日本という東アジアにある小さな島国でも、文化的、政治的、そして社会的に、とてもエキサイティングな時代でした。
 
だから私も、この本が、何らかの形で若い人たちの役に立つことを願っています。60年代後半、私たちは何も持っていませんでした。お金もほとんど持っていませんでしたし、クレジットカードもありませんでした。お腹を空かしている時もありました。でも、頭の中は、様々なアイディアであふれていて、何かを創り出すことにエネルギーを注いでいました。文化的な爆発です。音楽、芸術、そして政治的にも、とてもエキサイティングな時代でした。インターネットや、携帯電話、ファックス、クレジットカードも、何もない時代でしたけれどね。今の若者は、経済的には苦しいのかもしれませんが、生き方は、他にもたくさんあることに、ぜひ気がついて欲しいと思います。大切なのは、物質的なものではなく、彼ら自身の志、行動、そしてエネルギー。それらが、その人の人間性を決めるのです。おしゃれなデザイナー・ブランドのバッグや携帯電話ではなく、その人の内面こそが大切なのです。
 
 
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子供たちは皆、私たちみんなの宝です。私も母親ですから、もし影響を受けた子供がいるのだとしたら、それは私の子供が影響を受けたのと同じです。私たちそれぞれが理解を深め、協力しながら、世界規模で話し合うことが大切です。恥じたり、経済への影響を心配する余裕などありません。これは、経済よりもずっと重要な問題で、人類の未来がかかっているのです。危険から目をそらさずに、事故が起きた時の除染や、事故を防止する対策などを考えるべきです。もっと深刻な事故が起きる可能性もあります。
複雑な問題であることは理解しています。私たちの世界では、時として事実が隠ぺいされます。河川の汚染や放射能汚染についても、事実が隠ぺいされましたが、いずれ、隠す場所がなくなってしまうでしょう。それが私たちの暮らす世の中となってしまうのです。お互いに心を開き話し合うべき時がきています。これまでの過ちを認め、環境に関する知識をあらため、協力し合うことが大切です。今を犠牲にしても、子供たちの未来のために保護しなければなりません。
 
──まったく同感です。日本で起きていることについてお話しましょう。3月11日の震災から、もうすぐ2年が経ちます。日本では、昨年12月に総選挙がありました。その選挙で、有権者は、非常に保守的な党を選びました。
 
ええ。存じています。
 
──その党は、あれだけの事故があったにもかかわらず、今後も原発推進の方針です。生活を支えるために、有権者は、経済を優先したのです。私は、ジャーナリストの一人として、その結果に苛立ちをおぼえました。原発の問題は、あなたの国アメリカの政策と深く関わっていると考えています。
 
ええ。私も、よく理解しています。これは複雑な問題だと申し上げたのは、ご指摘の点を十分理解しているからです。例えば、ニュージャージー州では、化学物質が川に投棄され、深刻な環境汚染が広がっている地域があり、そこでは癌になる人の数が増えています。若くして亡くなる女性もいます。生まれてくる赤ちゃんに異常がみられることもあります。小児癌患者の数も増えています。河川に投棄された化学物質によって、土壌や水が汚染されたことが原因だと分かっているのに、みんな、仕事を失いたくないと、工場の閉鎖を求めたり、工場に抗議しようとはしません。しかし、その仕事によって、子供たちの命が奪われていくのです。当事者は難しい立場に置かれていると思います。時計の針をリセットするのに似ています。考えを一新して、経済的にしばらくは厳しくなっても、変化を起こすんだという覚悟が必要です。それが、私たち自身、私たちの子供たち、そして私たちの未来を救うことになるのです。難しいのは十分分かっています。川に薬品を流している工場に抗議すれば、仕事を失うのではと心配するのは分かります。でも放置すれば、癌になって、化学療法を受けることになるかもしれません。どこかで、汚染を止めなければならないのです。
世界中で、ストライキを行うべきです。世界中の人が「もうやめよう」と一緒に声を上げることを、私は期待しているのですが、実際はどうでしょう?私の祖国、アメリカでは、ブッシュ大統領が、再選されました。イタリアではベルルスコーニ首相が再選されたり、保守勢力が支持されるのは、なぜでしょう?みんな怖いからです。経済への影響を心配しているのです。経済は、いまや、世界を動かすうえで、中心となる原動力となりました。しかし、信条に関わることでも、創造的でもなく、物質的な豊かさをもたらすだけです。物しか残りません。
私がこの『ジャスト・キッズ』という小さな物語を書いたのは、若い方々に、生き方を見直してもらいたいと願っているから。犠牲と伴うこともあるでしょう。犠牲を伴うと辛いこともありますが、その犠牲とみかえりに大きなごほうびがあるはず。マスクをしなくても、自由に空気を吸うことできます。このままでは、常にマスクをしていないといけない時代が来ます。そんな生活、誰も望んではいません。きれいな空気を吸う生活を、誰もが望んでいるはずです。神様が私たちに与えてくれた恵みはパソコンではなく、新鮮な空気なのです。神様が私たちに与えてくれた恵みは車ではなく、きれいな水なのです。
 
 
──最後に、被災者の方々にメッセージをお願いします。
 
私は、地震が起きたその日から毎日、被災された方々や子供たちのことを思い、土壌汚染や大気汚染、水質汚染などを心配しています。私はアメリカにいますが、遠くからいつも、みなさんのことを思っています。今こそ、お互いのことを思いやる時です。私には何もできませんが、みなさんを愛する気持ちだけでもお届けできたらと思います。
 
 
 
 
パティ・スミスのメッセージ、自分のブログにも
残しておきたくて、掲載させて頂きました。
 
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